こんにちは、ユキコ@アジアで働くママランサー(@SanoYukiko)です。
気が付けば、2020年3月のロックダウンとともに始まった在宅勤務も、まもなく1年半を迎えようとしています。
そして、思っちゃったんですよね。
もう会社に行かなくてもいいんじゃね?
ということに。だって、オフィスに行かなくても仕事回ってますから。
今日は、この1年半を振り返りつつ、私の中で起こった働き方のパラダイムシフトについて考察してみようと思います。
Beforeコロナの働き方
私の仕事は、たまにフィールドや現地踏査的な業務もありますが、基本的にはオフィス・ワークです。
ここ数年は、月の半分は出張で不在、家事も育児もメイドさん任せという生活でした。出張のないときはオフィスに出勤していましたが、渋滞がひどいので、車で片道10分の距離を30-40分、長いときは1時間ほどかけて通勤。
昨年の3月半ばには最初のロックダウンが始まり、当初は週1~2日に程度の出勤でしたが、その後、一時帰国を余儀なくされたことでフル在宅勤務になりました。これに伴い、通勤も消滅しました。
今年3月にフィリピンに戻ってからも、ずっと在宅勤務が続いています。
Withコロナの働き方
1年半の在宅勤務経験を通じて、私の中で何が起こったかというと、
出勤は基本いらない
といういわゆるパラダイムシフトでした。
パラダイムシフト(Paradigm Shift)とは、
A radical change in underlying beliefs or theory
(Source: Collins English Dicstionary)
要すれば、これまで当たり前だと思われていた社会規範や価値観が大きく変わること。
社会人になって20年以上、ガチのフリーランスだったほんの短い期間を除けば、「仕事はオフィスに行ってするもの」というのがデフォルトになっていました。
ところが、今や私にとって、「出勤は基本不要なもの」になりました。
PCとネット環境さえあれば、仕事はほとんど回るからです。
(少数ながら出勤していた同僚のサポートがあるとはいえ、そこはやり方と仕組みを変えれば乗り越えられるものだと私自身は考えています)
初期の頃こそ、会社のファイルにアクセスできないといった問題がありましたが、慣れてみれば大した不便でもなく、むしろ、必要だと思っていたあの大量のファイルは、そもそも不要なのかもしれないとすら思っています。
在宅勤務のデメリット
私の場合、オフィスに出勤してしかできない仕事というのは、そもそもないように思うのですが、デメリットがあるとしたら何だろう?と考えてみました。
あまり思いつかないのだけど(!)、強いて挙げるならこの3つです。
- コミュニケーションの質と深度
- フィールド/現場にいけない
- ゼロからの人間関係構築
1)コミュニケーションの質と深度
もう1年半近く、オンライン会議をしまくり&たまーに対面の会議をしていて感じるのは、
- オンラインは、非言語(non-verbal)コミュニケーションには弱い
- 場外のサイドトークのようなものもないので、機微な話がしづらい
といったことです。
現状、対面の会議のメリットはほとんど享受できていませんが、そこまで困ってもないので、私にとっては「あったら便利だな」「仕事のクオリティが多少あがるかな」というレベルです。
100点満点で合格点が80点だとしたら、90点、100点をめざしていくなら対面があるとよいというとイメージわくでしょうか。
2)現場感覚が鈍る
私の業界には、「現場第一」という根強い観念があります。
現場でしか見えないものというのは、確かにあります。長年の経験からしても、現場感覚というのはとても大事なので、フィールドには行けるのがベストなことは間違いない!
じゃあ、現場に行けないと仕事ができないのか?というと、決してそんなことはなくて、「できる・できない」でいえば、「できます!」というのが私の回答です。
紛争地や危険地では、現場には行けないことの方が多い。だから、足は動かせないけど、頭を使って手を動かして、現地の状況を拾い上げていくしかないのです。
「フィールドに行けない=仕事ができない」と思考停止するのではなくて、
この制約の中で自分はどうやって付加価値をだしていくのか?
を発想を転換して創意工夫する方がよっぽど建設的かなと思っています。
日本にいる同僚は、出張しなくても、フィリピン側の関係者とオンライン会議ができるようになりました。現地にいなくても仕事ができるのであれば、「駐在」の意義や価値、「現場」の概念も変っていくのかもしれません。
3)ゼロからの人間関係構築
オンラインは、「会議をする」ということについて、時間と空間という物理的なハードルを劇的に下げてくれましたが、「ゼロから人間関係をつくる」というのは少々難しいかもしれません。
私が仕事を回せているのも、
既存の人間関係がベースにあり、コミュニケーションがリアル→オンラインに切り替わっただけ
という側面が多分にあると思うからです。コロナ後に赴任されてきた方は、この点、ものすごく苦労されているのではないかとお察しします。
ただ、これも、「人との信頼関係は会って築いていくもの」という固定観念かもしれず、まだまだ創意工夫の余地はあるように思います。(もはや、固定観念的なものは全て疑ってかかるくらいでいいのかも?)
私には、ネットを通じて知り合ったかけがえのない友人が何人もいるので、オンラインだからといって信頼関係を築けないということはないと思うのです。
その意味で、これからのコミュニケーションや人との関係構築というのは、もっともっと変わっていくのではないでしょうか。オンラインとリアルの共存がこれまで以上に進む社会では、「公と私」の境目も、どんどん曖昧になっていくのかもしれません。
デメリットは、いずれも、仕事のクオリティや効率性に関するところで、上記のコミュニケーションのところで述べましたが、「合格点でよしとするのか、さらに上を目指すのか?」というところだと思います。
このあたりは、自分の中での折り合いだけでなく、上長や同僚、クライアントとの期待値のすり合わせが重要だと思います。
在宅勤務のメリット
ここまで在宅勤務のデメリットをみてきましたが、私の感覚では、控えめに言っても、在宅勤務のメリットの方がデメリットを大きく上回っています。
私にとっての在宅勤務のメリットは、ズバリこの3つです。
- 通勤消滅による可処分時間増加
- 自分のペースで仕事ができる
- スキマ時間の活用で生産性UP
一つずつみていきたいと思います。
1)通勤消滅による可処分所得の増加
もはや説明不要ですね。
通勤がないとONとOFFの切り替えが難しいというような論調も見かけます。それは本当にそうだと思いますが、ここも工夫の仕方はいくらでもあると思います。
ON/OFFの切り替えのために、私が実践しているのは、
- 服を仕事着に着替える
- メイクをする(※)
- 始業・終業時間を固定、厳守
- 朝の儀式(5分間の瞑想です)
(※)一度、ノーメイクでオンライン会議に出たら(←大した勇気だ!)、画面に映る自分の顔色の悪さにびっくりしました。血色よく見せるチークは必須。
儀式は何でもいいと思うのですが、何となく始まって何となく終わる、というのはやめたほうがいいですね。これまで以上にメリハリが重要です!
今は、自宅近くにアパートを借りたので、朝昼夕と徒歩で通勤しています。切替えとちょうどいい運動にもなっています。
2)自分のペースで仕事ができる
人に話しかけられたり電話が鳴ったりと、集中を妨げられる頻度が減ったのは本当に大きいです!(私は意外と繊細さんで音に敏感なのです)
読んだり書いたりと集中や思考を要する作業にしっかり取り組めるようになりました。
また、ペースというのは、時間配分もありますが、環境による影響も見逃せないと思います。
オフィスだと、机や椅子の高さ、PCやモニター、周囲の音(オンライン会議が主流になって、自席で会議をする人が増えた&イヤホン使わないのとかやめてほしい…)、空調の温度など、自分で環境整備するには限界があります。
また、私は、ランチタイムに10~15分、パワーナップを取っています。アイマスクをしてベッドに横になっているだけでも、その後の頭のスッキリ感が違う!
こういった時間配分や環境をより自分好みに設定できることによる効率性のアップはかなり大きいです。(多少の投資も必要になりますが)
3)スキマ時間の活用による生産性アップ
在宅勤務時に家事をすることには賛否両論ありますが、私にとっては、このスキマ時間の家事が、とかく単調になりがちな在宅勤務のいいアクセントというか、気分転換になっています。
休息も兼ねているので、頭を使わない単純作業を選んでいます。
最近の脳神経科学の研究では、単純作業(厳密にはリズム性運動)によりセロトニンが誘導されストレス対策になったり、単純作業により脳に余白ができて、クリエイティビティを発揮しやすくなったりすることも明らかになっているとのこと。
「ちょっとしたことだけど、気になっていたことが少し片付いた」と気持ちがポジティブになる効果もあってか、結果的に自分のコンディションがよくなり、仕事の生産性もアップしているという体感があります。
その日にやるスキマタスクは、思いついたら手帳にメモして、朝の手帳タイムの時に「今日はこれをやろう!」とその日の気分で選んでいます。
オフィスで仕事をしていた頃よりも、はるかにパフォーマンスがあがっていると思うので、もはや会社に行く理由が見つからないです…。
これからどうなる?どうしたい?
ここまで出勤しなくていいメリットの方が大きいと、もう以前のように、オフィスに出勤して働きたいという気持ちには正直なれないです…。
自分の好きなときだけ会社に行く
とか言うと、これまでは「あり得ない!」という感じだったと思うのですが、行かなくて済む人は行かなくていいんじゃないでしょうか。
好きなときだけ、とまではいかなくても、必要なときだけ出勤するということで。ダメですかね?
在宅勤務が中心のワークスタイルは、当面のあいだ続くように思うのですが、私自身は、中長期的には、出勤が必須の働き方は卒業する方向で考えたいです。もうお勤めしたくないよ。
2年後くらいに、「働き方改革2023」という続編記事を書いてるといいなー(願望)
働き方→暮らし方もパラダイムシフト
今まで「会社に行って仕事をする」ということに一日の大半を費やしていましたが、その前提が大きく崩れたことに伴い、生活スタイルも大きく変わりました。
ちなみに、フィリピンは、学校再開していないので、子どももオンライン授業、学校には行ってないです…。夏休みは2か月半もありましたが、子どもは外出規制があったため、ガチでどこにも行けませんでした。それでも意外と平気だったのは、大きな発見です。
生活スタイルの変化に伴い、働き方ほど劇的ではないにしても、暮らし方にもパラダイムシフトがありました。
自ら望んだわけではないガイアツ的な大きな変化に直面し、大変なこともあったのですが(もう15年も家事してないのに、突然、日本でワンオペの働くお母さんになるとか…)、おかげで、自分にとって何が心地よく、大切なことなのかというのがより明確になったと思います。
わが家の場合、ずっとワンオペだったところに夫がジョインしたという変化も大きいですし、以前よりもずっと、時間と心に余裕がある今の生活が気に入っています。
ワークシフト、ライフシフトへ
今年45歳を迎える私、人生100年だとしたら、折り返し地点の少し手前。
このタイミングで、働き方に大きなパラダイムシフトがあったことは、よかったのではないかと感じています。
セカンド・キャリアも含めて、ワークシフト、ライフシフトについて考え行動し始める時期にきているのかなとも思います。いろいろ学び試行錯誤しながら前に進んでいきます。