Age 40

ドラッカーと100年人生に目眩

何をもって憶えられたいか?

このドラッカーのことば、ご存知の方も多いと思います。

ドラッカーといえば、数々の名言、金言で知られていますが、キャリアや人生論的なところでもっとも有名なのは、

何をもって憶えられたいか?

このフレーズなのではないでしょうか。

私には、なかった…

私、こう見えても原則とか普遍的なこととか大好きです。

「原則」に沿わずに仕事を進めようとすると、もうほぼ100%、後でエラい目に遭って仕事は増えるし、誰かの尻拭いをさせられるときだって、だいたい「原則」を歪めてものごとを進めていたときなんですよね。

ゆえに、私の仕事のモットーは、「正しいことを正しくやる」、つまり原則に基づいて判断するということです。その場しのぎとか手戻りとか、同じ問題を繰り返すとか大嫌い。

なので、ドラッカーとか『7つの習慣』とか、仕事にも人生にも効くので、結構まじめに読んでいます。

最近も、人生&仕事上でちょっとした悩みがあり、この週末もドラッカーを読んでいました。

この「何をもって憶えられたいか」というのは、『7つの習慣』でも、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」として取り上げられています。

「自分の葬儀の時に親族や友人にどんな弔辞を読んでほしいか」という問いを投げかけていますよね。

この2つが言わんとすることは、

自分の目指すところ(目的地)や本当に大切なもの(価値観)を明確化しよう。そして、その描く未来から逆算して、本当に必要・重要なものにだけフォーカスしよう。

ということだと思います。

でもね、ないんですよ。

何をもって憶えられたいか?

って言われても、特にないんです、私。昨日ヨガをしていたら、「何もないよ!!」って降ってきてしまって。

無理やり挙げろ、と言われたら、夫とムスコに憶えていてほしいかなー。って、「何」ではなく「誰」に憶えてほしいかになっちゃってますし…

夫とムスコにとって、何で(どんな風に)憶えていてもらいたいか、というのはちゃんとあるんですけどね。

最期のとき

一方、自分の最期のいうのは、私の中ではかなり具体的にイメージできています。

海を見渡せる大きな窓から柔らかな陽射しが入ってくる部屋で、すごく肌触りのよいベッドリネンに包まれて、夫とムスコに見守られています。

自分が発する最期のことば、夫とムスコからかけられることばも決まっています。感動的でもドラマチックでもなく、たぶん誰もが思いつくような、普通のことばなんですけど。

お葬式とかはなくて、自宅の前に広がる海に散骨してもらう予定です。(って、夫にこの話をしたことがあるかどうか、記憶も定かでないのですが、この場を借りてお願いしておこう。よろしくね)

とても穏やかな最期で、死因は老衰。すごく長生きするんだなー、私。傍に立って見守っている夫は、今の夫なので、どうやら終生、添い遂げることになっているようです(笑)

そんなわけで、仮に100歳くらいまで生きるとしたら…今、40歳だから、あと60年。今までの人生の倍以上、生きることになるわけです。

すみません、軽く目眩です。

これがライフシフトの100年人生か…

40歳の今から、100歳のあの最期の瞬間にハシゴをかけて登っていくなんて、雲の上のことのようで、見える気がしない。

そもそも、60年後の世界なんて激変してるだろうし、そんなに長くて安定したハシゴなんて存在しないよね。自分自身の考えや価値観にだって変化があるだろうし、体力だって衰えるだろうし…。

だとしたら、5年モノのハシゴを10回くらい架け替えながら生きて行くのが現実的なんじゃなかろうか。

30代の10年を振り返ってみると、40歳の今は、30歳の頃には想像すらしていなかったところに立っていることを思うと、10年を区切りとするのは、感覚的に長いです。仕事柄、国境を越えた異動がつきものなので、5年後にどこの国で何してるのかだってわからないくらいなんだから。

それに、予定調和の60年後なんてつまんないよね。

問いの向こう側にあるもの

何をもって憶えられたいか?

と問いかける意味を否定するつもりは全然なくて。「何」を探すのも大切なことだとは思うんです。私自身、今はないけれど、何年かしたら、また違う想いが生まれてくるのかもしれない。

ドラッカーが今なお読み継がれ、読むたびに新しい発見があるのは、普遍的だからこそなんだと思います。

普遍性や原則というのは、時代を超えても変わらないものなわけですが、例えばこの問いであれば、「何」を見つけることだけが目的ではないんじゃないかな、と。

この問いを思考のきっかけにすること、人生の節目や区切りで問い=思考を深めるということの方が重要なんだと思うのです。

『ライフシフト』、久しぶりに読み直してみよう。